2023年2月21日火曜日

薬効のある植物は、なぜ、薬効があるのか?

これは、2022年11月に、Facebookに投稿した記事の転載です。


植物は、自身に危険が迫っているときに、それを察知して、様々の反応する。特に、大きな危険があるときには、多くの植物は、新しい芽を出したり枝を作ったりということを一旦止めて、眼の前の危険に対応しようとするらしい。当然、そういう危険の情報を植物の全身の細胞に伝えるための、植物のホルモンのようなものがある。で、コーヒーという植物は、それをハックしているらしい。

コーヒーの実は、多くの植物が危険を感じたときに放出するホルモンににた成分を、大量に含んでいるらしいのだ。そのため、コーヒーの木が、実を落とすと、その周辺の、他の植物のタネは、危険があるものと誤認し、発芽を、いったん延期する。その結果、コーヒーのタネは、周囲の他の植物が芽を生やさないうちに、自分だけ発芽し、太陽光を独り占めし、大きく成長できる。

我々は、その、危険を知らせる植物ホルモンに似た成分を、「カフェイン」と呼んでいる。我々は、そのコーヒーの実を炒って、その抽出液をお湯で薄めて飲んで、我々の神経を覚醒させる効果を楽しんでいる。

植物が、危険の際に放出するホルモンと、人間の交感神経を刺激する成分が、お互いに非常に似通っているらしい、ということの不思議さも面白いが、ここで、当たり前に気づくことは、コーヒーがカフェインを作ることは、本来は、コーヒー好きの人間のためではなくて、コーヒー自身が、成長し、子孫を残し、繁栄するための戦略の中で、必要なものである、ということである。

コーヒー以外にも、人間や動物の体に強い影響を与える物質を作る植物は、たくさんある。そういう植物は、たいていは、植物自身にとって、そういう物質を作ることのメリットが大きいから、そうしているのだと思う。

唐辛子の実は辛い。唐辛子はカプサイシンという成分を含んでいるからである。ほとんどの哺乳動物は、だから、唐辛子を食べることを避ける。哺乳動物は、カプサイシンが粘膜に触れると、痛みや熱に似た刺激を感じるからである。しかし、鳥類は、カプサイシンでそういう刺激を感じないらしい。だから、鳥は、唐辛子を食べる。唐辛子は、そうして、鳥にだけ食べられる。鳥は、空を飛ぶから、哺乳動物よりも行動範囲が大きい。そうして、鳥は、哺乳動物よりも広い範囲に糞を落とす。唐辛子は、鳥の専用の食品になることで、他の類縁植物よりも、より遠くに、鳥の糞に混ざってタネをバラまくことができる。カプサイシンは、唐辛子の繁殖のための戦略なのであり、別に、唐辛子は、人間の食卓を豊かにするためにカプサイシンを作っているわけではないのだ。

彼岸花の根は、毒を持つ。だから、ネズミやモグラなどの地中の小動物は、彼岸花を植えてあるところには、穴を掘らない。墓の近くに彼岸花を植えるのは、昔、土葬が普通だった時代、そういう小動物が遺体をかじって、墓の近くで繁殖することを防ぐための工夫であった。もちろん、彼岸花は、人間の墓を守るために毒を作るわけではない。彼岸花は、夏までに葉をつけ、光合成し、その栄養で、秋に花をつける植物である。秋に花をつける頃には、彼岸花には葉はないのだ。つまり、光合成する時期と、花をつけて繁殖する時期に、明確な時間差がある植物なのである。その時間差の間、栄養は、彼岸花の根茎に蓄えられる。繁殖のための栄養を蓄えた根茎を地中の小動物や昆虫から守るのは、彼らにとっては死活問題なのだ。そのための毒である。

さて、病気や怪我の治療に使える効果を持つ成分をつくる植物は、たくさんある。「薬草」なんて呼ばれる。おそらく、こういった薬草が、薬として利用できる成分をつくるのは、本来は、人間の医療に役立つためではないはずである。植物は、その植物自身が繁殖し成長するために、なにかメリットがあるから、薬を作っているはずだ、と思う。

麻黄という薬草がある。エフェドリンという成分を含み、それを服用した人間の心拍数を増やし、気管支を拡張し、発汗を促す。その性質を利用して、喘息の薬などに使われる。

あるいは、桂皮(桂枝、シナモン)という植物がある。血行を促進し、体温を上げ、発汗を促す効果がある。それを利用して、感冒の薬などに使われる。

「こういう薬用植物は、どういう生存戦略で、こんな成分を作っているのでしょうか?」「こういう薬用植物が繁殖するために、薬の成分を作ることは、どういうメリットがあるのでしょうか?」と、最近、色んな人に意見を聞いてみたのだけれど、みんな、そんなこと考えたこともない。という。文献も探してみたが、見つかった範囲では、そんなことを書いている人は、どうもいないらしい。

でも、薬を作ることは、植物自身にとっても、かなりコストがかかることのはずなのだ。であれば、植物自身にとっても、そのコストに見合うメリットがあるはずだ、と思う。

だれか、そういう事を考えている人、いないでしょうか?

2022年6月23日木曜日

linux on vbox on winをアップデートしたときに、重たいと感じたらすること

ずっと、lubuntuをvbox on win上で開発環境として使っています。

メインの開発環境以外は、直接ハードウェア上にインストールしたubuntuですが、メインだけは、vbox上です。

vboxなのは、手軽なのと、あと、開発環境がポータブルだと、やっぱり別のマシン上に移動するときに便利だからです。

で、最近、lubuntuを18から一気に22にアップデートしました。急に重たくなった。で、色々やったのですが、まあ、たぶん、次にアップデートするときにも、同じようなことをやるんだろうなぁ、と思うので、色々試したことを書いておきます。

書いてみると、結局、当たり前のことばかりですね。


1, 余計なサービスが動いていないか確認。

2, guest側window system で不要な設定がされていないか確認。

3, guest側の背景画像をなくして、背景は一色にすること。

4, guest側のディスプレイの設定、グラフィックコントローラの設定の確認。

5, guestに割り当てるメモリを増やす。


あと、おそらく、次は、lubuntuはないかなぁ、と思っています。だんだん、私が、最新のパッケージの機能を必要としなくなっているので、ubuntuの新しいパッケージに付いていくのがしんどいんですよ。自分で書いているスクリプトのたぐいを、いろいろ、最新の環境に合わせて書き換えなきゃならないの、大変ですからね。次からは、debianかねぇ。

2022年3月13日日曜日

ウクライナ危機について、今、思っていること

 2月24日、ロシア軍がウクライナに侵攻しました。

この記事を書いている現在も、ロシア軍が、ウクライナの首都のキエフに迫っています。

この記事は、その状況下で、戦乱から遠く離れた東京で、私が考えていたことの記録です。一部、未来予測的な部分を含むので、あとから見直すことができると有意義だと思って、記事にして残しておくものです(最近、その時々にあたりまえのように考えていたことを記録に残しておくと、非常に良いと思うようになりました。自分の立場や健康状態などによって、あたりまえだ、当然だと思っていることは、大きく変わっていくからです。)

想定読者は、数年後の私ですから、ここに書いてあることに反論がある人がいらっしゃっても、特に議論するつもりはありません。私は、この分野には、素人ですから、まあ、間違ったことも書いていると思うのですが、それもまた、未来の自分に読ませるためです。

1,この戦争は、非常に珍しい戦争である。
たぶん、私は、子供の頃に聞いたのと思いますが、「マクドナルドが出店している国同士は、戦争はしない」という言い回しがありました。出典は知りません。実際、これまで、マクドナルドが出店している国同士で戦争が起こったことがあるかどうかも知りません。おそらく、この言葉の意味は、十分に国際経済の一部になった国同士は戦争しない、という程度の意味でしょう。十分に国際経済から恩恵を受けている国同士は、戦争で得るものよりも失うもののほうが多い。だから、戦争しない。そういうことだと思います。

ところが、今回起こっているのは、マクドナルドがある国同士の戦争です。ロシアにもウクライナにもたくさんのマクドナルドがあります。今回、我々は、そういう、グローバル経済の一部であるような、しかも、それなりに大きな国同士が戦争すると、どうなるか、を、見せられているわけです。

2,経済制裁等が思ったより効いている。
ウクライナは、NATO諸国に助けを求めています。しかし、NATO諸国も、その同盟国も、直接に軍隊を派遣するような支援はしていません。経済制裁と、武器供与だけです。ところが、思った以上に、この経済制裁や武器供与が効いている。ウクライナに入ったロシア軍は思った以上に苦戦していますし、制裁を受けたロシア経済は破綻寸前で、おそらく、それほど長く戦争を続ける力は残っていません。

経済制裁が効いているのは、これは、これまで以上に世界経済が一体化している、いわゆるグローバル化が進んでいること、また、武器供与が効いているのは、戦争が、これまで以上にハイテク兵器に頼るようになってきたこと、が理由でしょう。

ここ十数年で、世界の多くの国が、これまで以上に、諸外国との貿易や国際投資の恩恵を受けるようになりました。その結果、グローバル経済から切り離されることは、これまで以上に高くつくようになったのです。その結果、経済制裁は、より強く効くようになった。よく、「経済制裁だけで防げた侵略はない」という言い方がなされますが、今回は、その、初めての反例になるかもしれません。

3,ウクライナの宣伝がうまい。
事前に思っていたよりも遥かに、ウクライナの宣伝戦というか情報戦は、旨いと思います。対して、ロシアは、あまりうまくない。このあたりは、近い将来、いろんな分野の宣伝の、ひとつのモデルケースになるのではないでしょうか。

4,このあとどうなるか(1)
3月13日現在、私は、もう、ロシアは、勝てないだろうと思っています。仮に、キエフが陥落しウクライナが負けても、ロシアは、ごく一部のロシア人居住地域を覗いて、ウクライナを占領できないでしょう。なにより、当面、厳しい経済制裁は解除される見込みはありません。経済制裁が解除されなければ、ロシアは、どんどん貧乏な国になっていきます。ロシアは、今や、韓国よりもGDPの小さな国です。これが、北朝鮮よりもGDPの小さな国になれば、おそらく、NATO諸国の安全保障は、いまよりもずっと簡単になります。おそらく、そのあたりが落とし所になるのではないでしょうか。

グローバル経済が発達した時代において、経済的エンガチョは、爆弾よりもパワフルな攻撃力を持つ兵器なのです。

西欧にとっての脅威になりえないくらい程度の弱小貧困国になったロシアが、ウクライナから撤退し、周辺諸国に作った、いくつもの自称「共和国」への支援をすべて解除し、制裁を解除してもらう。そういうふうになる可能性が高いんじゃないかな、と思っています。

5,このあとどうなるか(2)
経済制裁だけで、侵攻を止め、一つの大国を無力化できることができるという前例ができれば、おそらく、欧米の次のターゲットになるのは、中国です。

口実は、たぶん、いくらでもありえるでしょう。ウイグル問題でも、チベット問題でも、なんでもいい。中国の人権侵害や侵略と感じられる問題に対して、経済制裁が行われる。おそらく、中国は、理不尽だと感じるでしょう。私の知る限り、多くの中国人は、チベットもウイグルも、中国の一部だと本気で信じていますから。しかし、中国の信念は、制裁を解除する理由にはなりえません。制裁する国々に通じる論理で正当性を説明できない限り、制裁は解除されないからです。

もちろん、ひょっとしたら、こんな制裁は、起こらないかもしれません。しかし、将来、経済制裁を受けるかもしれないという可能性だけで、資本は、中国を避けるようになるでしょう。そうなれば、中国の経済成長は、今後は、これまでよりも難しくなるのではないでしょうか。

6,「ならず者国家」を排除したら、世界は平和になるのか。
ならないでしょう。おそらく、中露が弱体化すれば、欧米諸国同士の醜い争いが起こるようになるだけです。


追記。
個人的には、この投稿で予想したようになればよいな、とも思っています。ですので、予想だけでなく希望も入っています。武力介入せずに、経済制裁だけで大きな戦争を封じ込められるなら、また、それで、自由で民主的な国家群を守ることができるなら、完全に平和ではなくても、それで充分です。

2021年4月23日金曜日

ビザンチン将軍問題は、オスマン将軍問題に改名したほうがいい気がします

 ビザンチン将軍問題は、オスマン将軍問題に改名したほうがいい気がします、という話。長いよ。

計算機科学の分野の問題の一つに、「ビザンチン将軍問題」というのが、あるのです(リンクは、Wikipediaです。)
初めて、私が読んだ専門書では、この問題は、こんな感じの説明でした。
「ビザンチン帝国の軍隊が、とある敵国の都市を包囲している。包囲しているビザンチン帝国軍は、n個の軍団によって構成されていて、各軍団は、それぞれ、1人の将軍によって率いられている。帝国軍は、包囲している都市の攻撃を続行するか、それとも、撤退するか、を決めなくてはならない。もし、帝国軍全体で協力しあって攻撃したら、敵の都市を攻め落とすことができる。また、帝国軍全体で、協力しあって撤退作戦を行えば、犠牲を出さずに撤退することができる。ただし、一部の軍団だけが攻撃を続行し、残りの軍団が撤退しようとする、というようなことになれば、帝国軍は、敵に打撃も与えられず、被害だけを出し、戦争は敗北することになる。将軍たちは、攻撃か、撤退か、軍の全体の統一した方針を決めなくてはならない。無事に、全体で攻撃か撤退か、全軍で統一した行動が取れれば、将軍たちの勝ち、統一した行動を取れない軍団が出てくれば、将軍たちの負け、である。
ただし、問題点が2つある。
1,各将軍は、それぞれの率いる軍団を離れることはできない。したがって、全員で一箇所で会って話し合うのではなくて、お互いに手紙を出し合うことで、合意に至らなくてはならない。
2,将軍たちの中には、裏切り者がいる。裏切り者の将軍は、全体の統一した意思決定を妨害しようとするために、他の将軍に嘘の手紙を書くことがある。」
もちろん、計算機学者は、別段、ビザンチンの将軍の歴史の話に興味があるわけではありません。これは、コンピュータネットワークで、一部のコンピュータに故障が発生した場合にも、コンピュータネットワーク全体が、正常に動作を続けられるようにするにはどうしたらいいか、ということを考えるために、レスリー・ランポートという計算機学者が考えた例なのです。この例題の中の裏切り者の将軍は、故障したコンピュータの比喩で、また、例の中のビザンチン帝国軍は、ネットワーク全体の比喩なのです。計算機科学の世界には、このビザンチン将軍問題を解決するためのさまざまなアイデアがあります。
さて、この話を読んでから、ずっと疑問に思ってきたことがあるのです。それは、「ビザンチン将軍問題」に相当するような、ランポートの元ネタになるような戦争は、歴史上、どこかにあったのだろうか、ということでした。
複数の軍団が、お互いに会うこともできないほどの距離に布陣しないと包囲できないような都市、となると、かなり巨大な都市のはずです。ウィーンとか、ローマとか、おそらく、かなり大きな、つまり、現在でも有名な都市、でしょう。そんな巨大な都市を、ビザンチン帝国軍が包囲して、しかも、裏切り者がいて、そういう戦争というのは、歴史上、どこかであったのでしょうか?
先日、ネットフリックスの歴史ドキュメンタリー「オスマン帝国」を見ました。オスマン皇帝のメフメトの軍隊がコンスタンチノープルを陥落させる15世紀の戦いを描いたドキュメンタリーです。
皇帝に即位したばかりころ、メフメトの政権の基盤は弱く、メフメトは、自分の地位を守るためにも、自分が先代よりも優れた皇帝であることを周囲に示す必要がありました。メフメトは、そのために、コンスタンチノープル攻略を計画するのです。しかし、コンスタンチノープルは難攻不落の城塞です。この戦争が、若い皇帝の功名心からでた、成功の可能性が低い侵略だとみた大臣は、戦争に反対します。オスマン帝国では、メフメトの始めた戦争を支持する声は主流ではなかったのです。そういう中で、忠誠心の曖昧な軍を率いて、メフメトはコンスタンチノープルを包囲します。
包囲はしたものの、コンスタンチノープルは巨大な都です。包囲するオスマン軍の各軍団は、都の周囲の大きな湾や森、砦などに遮られ、お互いの連絡も十分に取れなくなります。そんな中、オスマン軍よりも遥かに小規模な軍隊でコンスタンチノープルを守るビザンチン皇帝は、オスマン軍にスパイを送り込み、調略によって逆転しようと試みます。オスマン軍の中には、本当か嘘かわからない情報が飛び交い、イスラム教徒からコンスタンチノープルを守るためにローマ法王が援軍を派遣したという噂が流れます。その一方で、オスマン帝国に新兵器を売り込もうとするキリスト教徒の発明家たちも現れます。むろん、信用できるものかはわかりません。そんな中、メフメトは、奇抜は作戦を秘密裏に進め、成功して、コンスタンチノープルを陥落させるのです。そして、勝利したメフメトは、戦争中に裏切った家臣たちを処刑し、自身の政権基盤を確固たるものにします。
さて、このコンスタンチノープルを包囲しているオスマン軍の様子、「ビザンチン将軍問題」に出てくるビザンチン軍に、似てませんか?
でね、思いついて、調べてみたんですよ。
この、「ビザンチン将軍問題」の元ネタは、「どこかの国の都市を包囲したビザンチン帝国の将軍たち」ではなくて、「ビザンチン帝国の首都であるコンスタンチノープルを包囲したオスマン帝国の将軍たち」だったのではないかと。それを、誰かが誤解して、ビザンチン帝国の将軍の話みたいに思って、いつの間にか、そっちの誤解が広がっちゃったんじゃないか(上でリンクしたwikipediaもビザンチン帝国の将軍の話として書いています)、って。まだ、ランポートの原著には当たれていないんですが、調べてみると、「ビザンチンを包囲するオスマンの将軍」の話として書いている本も、多いみたいなんですよね。

富山の四谷川

ふと思い出した話。長いよ。
小学生の頃、富山市の、割と中心部に住んでいたことがある。住んでいたところの近くには、四谷川(よつやがわ)、という小さな川が流れていた。
川は、細いところでは、助走をつければ飛び越せそうな程度の、小さなものだった。周囲の田んぼの排水は、だいたい、この川に流れ込んでおり、私の両親は、周囲の田んぼの水のための用水路だと思っていた。
実際、この川は、用水路のような感じというか、人工的な印象を与える川だったのである。川は、富山平野の中心部の、ほとんど水平な土地を流れていた。地面が水平なのに流れるのは、川が、深い溝の底を流れており、その溝が、川下ほど深くなるように掘られているからだった。また、川の流れる溝は、ほとんどのところで道に沿って真っ直ぐに流れ、ときどき、ほとんど直角に曲がっているのだった。つまり、どうみても自然な川には見えない、小さな川だったのである。
私が、この川が、見た目に反して、実は、ただの小さな川ではないと知ったのは、小学校の図書館でのことだった。図書館には、地域の郷土史の本がいっぱいあり、その中に、この四谷川が、昔は、もっとずっと大きな川だったと書かれていたものがあったのだ。
室町時代には、四谷川は、芋田川と呼ばれていたそうだ。当時の芋田川は、簡単には越えられない太い川で、富山城の南側の防壁の役割を担っていた。前田利家や佐々成政が率いる織田軍団が富山を征服した頃には、川の防衛上の機能を高めるために、川の北岸に沿って土の壁が作られ、また、川と壁を見張るために、川沿いに芋田城という小さな城が作られていたという。芋田城は、富山城の南を守る出城で屋形のような小さな城であった。場所は、今の中央保健福祉センター、少し前まで、星井町小学校があったところの近くだったという。
やがて、慶長の一国一城令により、芋田城は壊され、その代わりに、芋田川を見張るための小さな侍屋敷がいくつか作られた。侍屋敷は、時代によって増えたり減ったりしたようだが、最終的には4つに落ち着き、4つの侍屋敷が並ぶ芋田川は、四ツ家川、と呼ばれるようになった。やがて、周囲の住民は、昔、そこに屋敷があったことを忘れ、四ツ家川は四谷川と書かれるようになっていった。
当時、日本史、特に戦国期の歴史にハマっていた小学生の私は、この、自分の住んでいる近くに戦国の城があったという話に興奮した。しかし、それ以上に気になったのは、もし、四谷川が、昔、もっと大きな川だったとしたら、その水は、どこから流れてきて、どこに流れていたのか、ということだった。
川を流れる水は、山にふった雪や雨である。雪や雨の降る量は、この四百年でそう変わってはいないだろう。であれば、四百年前に、この川を流れる水が今より多かったのであれば、この四百年で川に流れ込む水の減った分と同じだけの水が、今は、上流のどこかから、別の川に流れ込んでいるはずなのだ。また、四百年前に、この川を、もっと多くの水が流れていたとしたならば、この川の下流、つまり、富山市の中心部に、大きな川の水の流れ込む、今はない大きな池なり川なり、があったはずなのだ。それは、どこだ?それが知りたくて、小学生の私は、四谷川の下流と上流の「探検」にでかけた。
下流については、その日のうちに謎が解けた記憶がある。四谷川を川下にたどると、子供の足でも20分くらいで、冷川(つめたがわ)という、四谷川より少し太い川と合流するところにでる。南部中学のちょっと北あたりである。その先は、川の名前が変わって、松川(まつかわ)となる。
松川については、小学校の授業で知っていた。昔の神通川である。神通川は、昔、富山市の中心部を蛇行して流れていた。その神通川の氾濫が頻繁なため、明治期に河川改修が行われた。その河川改修で、郊外に、新しい直線的な神通川が作られた。そして、それ以前に蛇行した神通川が流れていたところは、大部分が埋め立てられ、一部が、松川となった。この神通川改修と松川の由来の話は、富山市民にはよく知られている。そのため、松川には神通川の水が流れていると思っている人も多いが、実は、今の松川を流れているのは、四谷川と冷川の水である。いずれにせよ、いま、四谷川が松川に流れ込んでいるのであれば、昔の四谷川は、一級河川である神通川に流れ込んでいたはずなのだ。大きな川だった時代の四谷川の水の行き先は、これで、解決である。
上流の方は、なかなかわからなかった。四谷川の上流は、小学生の足では、少し遠すぎたのだ。わかったのは、中学1年生の夏である。自転車で、四谷川の上流をたどって、いくつもの用水を乗り換えながら行くと、上滝のあたりで、常願寺川に到達するのである。つまり、四谷川は、常願寺川の別れたものである。おそらく、四谷川の水量の減った分は、それよりも遥かに大きな川である一級河川の常願寺川に流れているのであろう。いつ頃、常願寺川から四谷川に流れ込む水量が変わったものか、よくわからない。ただ、四谷川の源流である常西用水が常願寺川から分かれるところには、佐々堤がある。佐々成政が作った堤防である。おそらく、四谷川の水量が減るのは、佐々成政が、ここに堤防を築いたよりも後であろうとおもっている。
さて、四谷川は、常願寺川から流れ出し松川に流れ込む、で、だいたいの話はおしまいなのだが、いまだに、よくわかっていないことがある。それは、最初に書いたとおり、四谷川の流路が、妙に人工的なことだ。四谷川も、また、四谷川と同じように常願寺川から分かれ、富山市内を流れて松川と合流する、いたち川も、どちらも、妙に深い溝を通っているところが多く、また、妙にまっすぐで、妙に直角に近い曲がり方をするところが多いのである。また、昔の富山の城下町を防御するのにも、田んぼの灌漑にも、自然の川にしては都合が良いところを流れすぎているのである。なんだか、やっぱり、誰かがつくったみたいではないか。四谷川も、いたち川も、前田利家や佐々成政が来た頃には、もう、今の流路であったというから、おそらく、それよりも前の時代に、誰かが川筋を今の場所にしたのだろうと思う。一体いつの時代のことか、誰が、工事したのか、おとなになった後も、何度か調べたのだけれど、いまだにわからないのである。

2020年12月28日月曜日

2020年に買ったもので良かったもの(かもしれないもの)

 みなさん、ごきげんよう。

「2020年に買ったもので良かったもの」みたいなエントリーをあちこちで見て、ああ、買い物を通じて今年一年を振り返るというのもいいかなぁ、と思いましたので、それで、今年買ったもののなかで、いろんなひとにおすすめしたいものを並べる記事を書いてみようとおもったのです。

なんですけれど、私、あんまり、記事にしたくなるような良いもの、買っていないんですね。一番、おすすめしたいものは、無料のものだったりして。

というわけで、あまりおすすめしたい買い物でもないのですけれど、ダラダラと書いてみます。


1,スマホ版のCollabora Office
LibreOfficeベースのスマホやタブレット用のオフィススイートです。Android版とiOS版があます。無料ですので、買ったものじゃないんだけれど。ですが、たぶん、パソコンでオフィススイートを使うような作業をスマホやタブレットでやるなら、一番オススメです。


2,f-Droid
少し前まで、私は、スマホ用のメールソフト兼TODOリストとして、Googleのinboxを使っていたんです。非常に便利でした。なんですけれど、googleは、突然、inboxの提供を打ち切ってしまって、それ以降、ずっと、TODOリストの管理に困っています。それで、スマホで使うアプリやサービスが極端に固定化して、特定の製品に依存しすぎるようになるのは、避けなければならないな、と痛感したのです。スマホは、パソコンよりもはるかに、普通の生活の中に深く入り込んで使われるデバイスなので、依存しすぎた製品が突然なくなると、ダメージ大きいのですね。

というわけで、最近、これを導入しました。Android用のアプリケーションストアでして。まあ、Google Playみたいなもんです。なのですが、提供しているアプリがオープンソースのアプリに限られている、という、そういうアプリストアです。これなら、万一、アプリの提供が止まっても、自分でコンパイルすれば良いわけですね。いいんじゃないかな、と思っています。

まあ、無料なので、買ったものじゃないんですが。


3,グリッペン
3番目で、やっと、買ったものです。200~300円と、安いですが。これは、何かというと、鉛筆の補助軸です。ただ、少し変わっているのは、差し込んだ鉛筆をネジのように回転させて使いたい長さに細かく調節できる、という機能がついたものです。これが、案外、使い勝手がいいのです。鉛筆補助軸みたいな古くからあるジャンルに、進歩がありうるとは思っていませんでした。

これを使うまで、鉛筆の補助軸というのは、短い鉛筆を延長してつかうものだと思っていたのですが、補助軸の長さをこれだけ手軽に細かく調節できるとなると、単に延長するだけでなくて、鉛筆の長さを自分の手にあった長さに調節するために使うものに変わってくるのですね。

難点は、補助軸なので、鉛筆が短くないと使えないということでして。私は、これを使うようになってから、長い鉛筆よりも短い鉛筆のほうが便利と思うようになりました。


4,ノートパソコンスタンド
テレワークが増えて、自宅でのノートパソコンを使った作業が増えたころから、頭痛や首の痛みが強くなりまして、その対策として買いました。

テレワークが始まってから首が痛くなるという人が多いのですが、私の見ている範囲では、多くは、仕事中に猫背になるせいなのですね。テレワークと言っても、多くの人は、自宅に、オフィスのような大きなデスクを持っているわけではありません。たいていは、デスクより背の低い座卓や、食事用のテーブルの上で、オフィスで使うよりも小さなノートパソコンをおいて小さなディスプレイを覗き込みながら使っています。それで、猫背になって、首の後の筋肉が緊張するのです。

少しディスプレイを高くすれば、たいていは、改善します。というわけで、これは、おすすめです。

5,Matobuy 空気測定器
これは、訪問している事業所で使うために買ったものです。炭酸ガス、ホルムアルデヒト、PM2.5などの濃度を測定することができます。コロナ禍で、各事業所での換気の程度を測定するために炭酸ガス濃度を確認したくて買いました。

同種の機械のなかで、アマゾンで一番安かったので買いました。測定精度がどれくらいなのかは、よくわかりません。まあ、でも、事業所で使うと、働いている人たちに換気の重要性をわかってもらいやすいです。これは、良いものをかったかな、と思っています。


あとで、追加するかもしれませんが、とりあえず、こんな感じです。あんまり、紹介できるようなものは買ってませんね。そもそも、買い物に興味がないからかもしれません。


それでは、みなさん、ごきげんよう。

2020年4月26日日曜日

テレワークでの健康上の問題について

みなさん、ごきげんよう

今日は、テレワークの健康上の問題について、話したいな、と思います。

みなさんご存知のように、新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、十分な準備なくテレワークが行われるケースが増えています。そのため、テレワークに伴って、様々な健康上の問題が起こってきています。そこで、今日は、テレワークで起こりやすくなりそうな健康問題、それから、その対策、についてお話しようと思います。

ここしばらく、テレワークを導入した会社で、社員の健康相談に応じてきて、ざっとみて、以下のような問題が起こっていると思っています。

1、各自の自宅で、適切な大きさの事務用デスクが準備できない。また、小さなノートパソコンで作業せざるを得ない。そのため、適切な作業姿勢がとりにくい。
これは、主に、肩や腰の痛みの原因になります。特に、住宅環境がそれほど良くない都市部では、自宅に自分の仕事用のデスクを持っていない人は、結構います。そうなると、小さな座卓や食事用のテーブルなどで仕事をするわけです。食事用のテーブルは、事務用デスクよりも少し低めに作られていますので、食事用のテーブルで作業しますと、どうしても、やや猫背気味になります。また、小さなノートパソコンを使わなくてはならないことも、この傾向を強めます。かといって、今から、テレワーク用の机やパソコンを買い足すことは非現実的です。
私がおすすめしているのは、とりあえず、パソコンのディスプレイの高さだけでも調節することです。パソコンのディスプレイを、猫背にならない状態で目線の高さよりもやや低くなるくらいの場所に調整しましょう。ディスプレイが横置きの人であれば、ディスプレイの上の辺の高さが、概ね、目線の高さと同じくらいになるように調節するのが良いと思います。ノートパソコンの場合は、そこまで高くすることは難しいですが、何かの台に乗せるなどして、少しでも高さを稼ぐと、多少、猫背は軽くなります。

2,作業に適切な明るさでない照明。
多くの家庭用の照明は、オフィスよりもやや暗く設定されています。ですから、ときどき、事務作業をするには照明が暗すぎる部屋でテレワークしている人がいるのです。これは、目の疲れの原因になります。これについては、デスクライトを用意することをおすすめします。

3,騒音、気温、湿度などの問題。
4,老人や子供などと同居しているスペースで仕事をしていることや、その世話のために仕事が中断されることによる集中困難。
この2つは、正直、簡単な解決方法がありません。各自の家で、家族で話し合って、解決方法を考えてください。

5,労働時間管理の困難。
テレワークになると労働時間が長くなる人、というのは、話を聞いていますと、ときどきいるようです。そういう人は、ときどき、意識して休憩をいれるようにしましょう。
簡単なストレッチなどをすると良いかと思います。
また、会社は、テレワークであっても、労働基準法や労働安全衛生法の労働時間の基準は適用されることを忘れないようにしてください。会社での仕事と同じく、一定以上の労働時間になれば、長時間労働として扱う必要があります。

6,運動不足。
自宅でできる簡単な運動、ググってみてください。結構たくさん引っかかりますよ。いろいろ試してみましょう。

それでは、みなさん、おげんきで。
ごきげんよう。