2014年2月10日月曜日

広島大学医学部の神経解剖の大量不合格の話し。

広島大学医学部の神経解剖学の追試験で大量の不合格(127人中120人が不合格)があり、ここしばらく、ネット上で話題になっていました。

僕の母校の話でもあり、興味を持ってみていたんですが、ネットで言われていることが、少し、僕の知っている母校の様子と違うところがあるようなので、これについて、書いてみることにしました。

この講義は、僕の学生時代(今から、およそ20年前)には、第二解剖学と言われていました。当時も、今回、120人不合格を出した楠元先生が講義していました。授業を受ける態度などにうるさい先生でしたので、一部の学生からは煙たがられていましたが、熱心な良い先生だったと思います。
たぶん、MDではなかったと思います。
「医者になるんだったら、もっと一生懸命勉強して欲しい」と、授業中、口癖のように繰り返していました。

掲示板などで、この大量不合格の話について、この先生の教え方が悪かったから沢山の学生が不合格になったのではないか、という推測がなされていますが、たぶん、違います。僕の知る限り、彼は、生真面目なキャラクターで、非常に熱心な講義をする良い先生でした。この先生は、試験では、多くの不合格を出すことで有名な厳しい先生でもありましたが、当時は教授ではなく、自分の講義の担当である組織学(ミクロの解剖学)だけを試験するだけで最終的な単位の合否を決める権限はありませんでした。

毎回、本試験と追試験が同じ問題という「悪しき伝統」があったという話も出ていますが、これは、よくわかりません。少なくとも、20年前は、この「伝統」は、少々違っていました。

20年前、この科目は、本試験も追試験も、大体、昨年と同じ問題が出ることが多い教科でした。ただ、数年に一度、出題傾向が大幅に変更されることが、ほぼ「伝統」になっており、その時、大量に留年者がでることが多かったはずです。そういう教科だということは学生たちも承知しており、みんな、昨年度までの過去問を元にヤマを張るのですが、それでも、一応、大幅問題変更に備えた勉強もしておくのが「伝統」になっていました。

では、学生のほうが不真面目だったのでしょうか?

自分の経験に照らして、どうも、そうではなかったのではないかという気がします。少なくとも、僕が学生だった頃は、この学校は、かなり真面目に勉強していても、時々、こう
いう「事件」が起こる学校でした。

僕などは、あまり真面目なほうの学生ではありませんでしたが、それでも、今でも、大学時代の試験の前の勉強を夢で見て、うなされることが時々あります。

20年たってもまだうなされるほどの勉強をしていても、それでも、いつも、単位をもらうのはギリギリでした。

他の大学でも、医学部にはそういうところが結構あるのかもしれません。でも、大学によって、かなり差があるようにも思います(そういう「厳しさ」の比較は難しいですが、つい最近まで勤務していた某大学などは、僕の母校より少々ラクな単位の判定をしているように感じます。)。

今回の試験の不合格ですが、どうも、これでただちに全員留年ということにはならないようです。成績は、他のいくつかの試験と合わせて総合的に判定されるそうで、おそらく、そこで、多少手心が加えられることになるでしょう。本当に120人不合格にしてしまえば、学校のカリキュラムが回せませんから。

さて、僕が何を言いたいのかと言いますと、今回のような話は、少なくとも僕の母校では、そう珍しくないということです。それは、教官も学生も真面目にやっても、それでも時々起こる「事件」なのです。

(少なくとも一部の)大学医学部というのは、そういうところです。

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