2014年5月19日月曜日

一連の、都心の安価な飲食店の人手不足の話を見て、思っていること。

まず、気になっていること2点。

第一に、現時点では、この現象は都心部に限られていることです。丸の内とか神保町では飲食の人手が不足してバイト料が暴騰しているのに、さほど離れているわけではない川崎とか川口とかでは、少なくとも僕の観測する範囲では、そういうメチャメチャなバイト料暴騰は、いまのところは起こっていないわけです。
これについて、よく、この手の安い飲食店で働いている患者と話して思っているのですが、この種の飲食店ではたらく人たちの大部分、今風の言い方をするとマイルドヤンキーってやつですけれど、たとえ、時間の限られたアルバイトであっても、自分のホームタウンから離れるのを嫌がるんですね。それに対して、この種の飲食店の主要な客層であるサラリーマンは、電車で長距離通勤することを厭わないし、実際、その多くが長距離通勤しているわけです。
そうなると、昼人口と夜人口の差が激しい地域ほど、飲食店の労働力の需給ギャップが大きくなることになる。今、特に深夜の時間帯で、この需給ギャップが顕在化してきたのは、景気が少しずつ回復してきて、サラリーマン層の残業が増え、深夜の安い飲食店利用が増えてきたからでしょう。

第二に、彼らの人手不足についての話は、介護とかベビーシッターなんかの話とすごく良く似たにおいがするってことです。
たぶん、問題の本質はすごく似ていて、これらの分野が、全部、直接的な対人サービス、人間相手の仕事であって、コンピュータによる人間の労働力の置き換えが難しい分野だからでしょう。人工知能の類を勉強すると嫌というほど実感しますが、知的で、高い学歴が必要だと思われている給与の高い仕事、たとえば、難しい法律だったり、化学物質だったり、また、複雑な機械や証券や株式などを操作する仕事に比べて、赤ちゃんをあやしたり、ペットの世話をしたり、料理をサーブしたり、というような話は、ノウハウが文章化しにくい分だけ、コンピュータのプログラムに置き換えることが難しいのです。
たぶん、今後も、必然的に、コンピュータが発達するほど、ホワイトカラーのサラリーマンは人あまりになるのに対して、飲食バイトやら、ベビーシッターは人不足になります。

こういう問題が一番最初に東京で顕在化したのは、たぶん、人が集中して住むほど、生活の中で機械では解決困難な課題が急激に増加し、その解決により多くの人手と時間が必要になるということなんじゃないかと思っています。

さて、こういう状況が続くと、今後どうなるか。

たぶん、都心部の、対人サービスの時給は上がり続けます。どこかの時点で、一部の店舗は深夜営業を諦めるでしょうが、需要は厳然として存在する以上、多少の料金値上げをしてでも、多くの店舗は、営業を続けるのではないでしょうか。
おそらく、これは、巨大都市が、地方や外国の出身者をさらに多く飲み込む時代がやってきた、ということなんだろうと思います。

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