2012年12月3日月曜日

医者に向かない医者を雇うこと

自分で会社を作れたら、「医者に向かない医者を雇うこと」を目標の一つにしようと思っています。医者って、給与の単価が高いので、なかなか難しいのですけれど。


少し前、山中教授がノーベル賞を受賞された時、彼が、研修医時代に「ジャマナカ」と言われて邪魔者扱いされ、結局、最初に入った医局を追い出されるようにやめたっていうおはなしが、メディアなどで取り上げられました。あれは、ひょっとしたら、山中先生のリップサービスかもしれません。でも、僕には、非常にもっともらしく思えます。医者の世界では、そういう風に、自分の就職した診療科から追い出される若手の医者って案外多いのです。たぶん、少なく見積もっても、新人医師の3〜5%くらいは辞めていくんじゃないかと思います。たとえ、辞めなくても、自分がこの分野の適性がないと思いながら、イヤイヤ医者を続けている医者もいっぱいいます。世間では、医者ってのは、結構「憧れの仕事」みたいに思われていることも多いので、イヤイヤ医者をやっているなんて本当かよ?って思うかもしれませんが、そういう人は案外多い、というのが僕の印象です。


別に、彼らが無能だというわけではありません。医者に向かないだけで、他の仕事では、いいパフォーマンスを発揮するのではないかと思える人も多いのです。

お医者さんの仕事は、ある程度学力がないと難しいと思います。でも、それと同じくらい、性格上の適性の有無が結構重要なのですね。それは、よく言われるような、客商売的な人当たりの良さとか、そういう種類の話ではありません。人当たりなんて言うのは、ある程度努力すれば大抵の人が身につけられる話ですので、人付き合いが苦手なので医者ができない、なんて言う人は案外稀なのです(全くないとは、言いませんが)。

医者のしごとが苦手な医者、医者の仕事を苦痛に感じている医者には、いくつかタイプがあります。僕は、これまで見た医者の苦手な医者を、自分の独断で分類してきました。

リスクテイカー型、数学者型、空想家型、あたりが、メジャーなタイプでしょうか?

他にもいるかもしれませんが。。

リスクテイカー型

新規のチャレンジを好み、同じ事を繰り返すことを嫌うタイプです。検査結果などで、予想外の結果が出るとうれしさを隠せず、不安がる患者への配慮が出来無くなることがあります。また、妙なスタンドプレーや、ハイリスクな治療を好む傾向があります。どうも普通の医者をしていないように見える一方で、メディアへの露出が多かったり、著書が多かったりする、その先生やあの先生は、多分このタイプです。

世の中には、リスクを取ることが好ましい仕事と、好ましくない仕事があります。たとえば、テレビ記者や、ベンチャー投資家などは、リスクを取らなければいけない仕事でしょう。でも、逆に、銀行員や公務員などは、自分の勝手な判断でリスクを取られては困る仕事なんですね。

医療も、基本的にはリスクをとってはいけない仕事です。

医療では、簡単にリスクを取られては患者が危険なのです。(あなたは、処方するときにリスクを取りたがるような人に診察してもらいたいですか?)

ところが、世の中には、生来リスクをとるのが苦手な人や、反対に、生来リスクを取るのが好きな人がいるものです。

リスクを取れない性格の人が戦場カメラマンに向かないのと同じように、新規のチャレンジが極端に好きなリスクテイカーは普通の医者を続けることが苦しくなるのですね。

このタイプは、派手なイメージの私大出身者にも多いですが、案外、地方の進学校でない高校から国立大学に進んだ学生にも多いです。おそらく、周囲の多くが進学しないような高校から、一人だけ受験勉強して医学部に進むというのは、それ自体が本人にとっては大きなリスクを伴う決断だからなんでしょうね。

数学者型

彼らのほとんどが、「高校時代、得意科目は数学で、苦手科目は英語でした。」と言う事から命名しました。

一見、医師としての専門知識に難があり、しばしば、周囲の医師からは不勉強だと思われていることが多いです。記憶力に問題があるように見えることもあるのですが、話していると頭は悪くないように感じられます。つまり、ロジカルなのだけれど暗記が苦手なのです。医学は、極端に暗記が中心の学問です。医学は、科学技術の仲間、理科系の学問とみなされていることが多いですが、どちらかというと、医学の習得は外国語の習得に近いのです。外国語に文法があるように、医学にも理屈はあるのですが、外国語の文法と同じように、例外も多いのです。つまり、こういう患者にはこういう対応をする、と一つ一つ覚えていく必要があるのですね。外国語の習得で、場面ごとの適切な文例を、一つ一つ覚えていく必要があるのに似ています。

医学はこういう学問ですので、どうしても、暗記が苦手な人は医学を習得するのが難しくなります。暗記が苦手だけれど、数学などの理科系の科目に秀でていたため大学入試を突破したというような彼らは、学生時代に、医療以外の資格、例えば、法律や会計なんかの資格を取っていることも多いです。おそらく、学生時代から、自分が医学に向いていないと自覚して、他の進路を模索するからでしょうね。でも、たいていは、アブハチ取らずで、どっちも専門家としては中途半端になってしまうことが多いです。医学部での勉強をしながら他の勉強をするというのは難しいのです。

元々医学が不得意な彼らですが、時間をかければ多くの人が外国語を習得できるように、彼らも中年に差し掛かるころには、そこそこの技術を持った医師になれるようです。でも、僕としては、他分野に行けばもっと活躍できたろうにと、勿体なく思います。また、せっかく医学とそれ以外のジャンルの両方をおさえているのであれば、純粋な医者ではなくて、医学の関連分野の、両方の知識が必要とされる分野で仕事をすればいいのに、とも思います。

空想家型

良く言えばイマジネーションが豊富、悪く言えば妄想癖があるタイプです。あまり多くありません。なぜ、彼らが医者に向かないのか良く分からないのですが、どうも、極度にイマジネーションが豊富だと、医療現場の仕事は苦痛を感じることがあるようです。有名な小説家や漫画家で、医者の世界をドロップアウトしてから大成した人が何人もいますが、そういう人達はこのタイプなんじゃないかな、と思っています。

診療科によっては、このタイプは問題にならないことも多いようで、精神科など一部の診療科に集中して存在しているようでもあります。

3つほど、医者に向かない医者のタイプを挙げてきました。この種のタイプの人の多くは、確かに医者には向かないのですが、決して他の医者よりも知的能力が劣っているというわけではなく、また、社会人として問題があるというわけでもありません。

最近、普通のビジネスをしている人と多く会うようになって、そういう、医者に向かない医者の性質の多くは、ビジネスの世界では長所になることが多いんじゃないだろうか、と思うようになりました。連中を雇い上げて、医療関連ビジネスで戦力として使えば、彼ら自身も、病院で働いているより生き生きと楽しく働けるんじゃないだろうか、と思っています。もし、自分で会社を作るなら、そういう人達を雇うような仕事をしたいな、と思っています。

2012年11月18日日曜日

診断機器としてのスマートフォン

昨日、診療時間のかなり遅くになってから、副鼻腔炎(いわゆる蓄膿症)が疑われた患者が来院した。
その子の母親が副鼻腔炎を心配していて、で、たしかに、僕の印象(「診察した医者の印象」というのは、検査などと比べても馬鹿にならないのだ)としても、副鼻腔炎っぽい。
でも、その時には、それを確かめるための検査や診察のための機械などは、手元になかったのだ。なぜか、いつも使っているペンライトすら電池切れに近い状態(本当に用意の悪い診療所なのだ。まあ、土曜日だからってのもあるんだけど)。

とりあえず、iPhoneの懐中電灯アプリで照らして咽頭を見ると、膿性の後鼻漏がある(つまり、黄色っぽい鼻水が、喉に落ちてきて、ベッタリとついている状態だったのだ)。やはり、それっぽい。

うーむ。ここには検査の機械なんてないし、僕は耳鼻科医ではないし、とりあえず耳鼻科に受診してもらうのがいいかな、と思ったのだけれど、なんせ、土曜日の午後のことだ。別の医者を受診しろっていっても、母親もなんとなく渋る感じ。
で、ちょっと思いついてiPhoneの懐中電灯アプリで、transillumination testをやってみた。

transillumination testっていうのは、鼻の横辺りの皮膚に強いライトを当てながら、口の中を覗きこむ診察方法だ。鼻の横辺りの骨も口の中の天井部分の骨も、非常に薄っぺらい骨なので、鼻の横に強い光を当ててやれば、副鼻腔の中の様子を、影絵みたいに、口の天井に映して見ることができる。

ふむ。なるほど。これはかなりのものだ。

スマホのライトってのは、それくらいのことができる程度には強力なライトなのだ、と思った。

結局、やはり副鼻腔炎が強く疑われるし、とりあえずそれ用の薬を出しておいて、それで、月曜には耳鼻科に行けって言って帰したんだけれど、あとで考えてみると、あれで、ほぼ確定診断になっているんじゃないかな、と思えてきた。

少なくとも、かなり高い確率で、副鼻腔炎と言えるまで証拠を集められたんじゃないかと思う。(参考:http://rockymuku.sakura.ne.jp/zibika/fukubikuuennnosinndann.pdf

以前、iPodを聴診器が割りに使う話があって、一時期試してみていたんだけれど、今のスマホの音質は、普通の聴診器よりも遥かにいいと思う。

というわけで、スマートフォンを万能簡易診察機器として使う、みたいな話を少し集めてみたいな、と思っている。案外、日常診療に使えるんじゃないか、こいつ。

2012年10月28日日曜日

これは皆さん見たほうがいい。映画「終の信託」を見てきました。

映画「終の信託」、見てきました。

終末期医療がテーマの映画です。ストーリーは、概ね実話(川崎協同病院事件)を元にしており、非常にリアリティがあります。

終末期医療に関心のある人は必見と思いました。この問題について丁寧に扱った貴重な映画です。

この映画の批評などをウェブで探すと、尊厳死の映画と思っている人が多いですが、これは、尊厳死の映画ではありません。この映画で扱われている事件は、「植物状態の患者を尊厳死させようとしたときに、突然患者が息を吹き返して暴れだし、それを慌てて鎮静させようとした医師が、結果として患者を殺してしまった」という事件です。この事件は、「尊厳死」や「安楽死」のカテゴリには入りません。


作中に出てくる患者は、長い闘病生活の中で、肉体的な苦痛に苦しみ続け、さらに自分の闘病のために家族に負担をかけていることに申し訳ないと思いつづけています。そして、自分の主治医を信頼しており、自分がいよいよ助からないとなったら無理な延命治療は望まない。その時には自分の治療を止めて死なせて欲しいと主治医に言い残します。これが、表題の「終の信託」、いわゆるリビングウィルです。


この、患者の終の信託に基づいた「尊厳死」であれば、法律上は、それほど大きな問題はなかったのでしょう、しかし、尊厳死をさせようとした瞬間、患者は息を吹き返し、最後の最後で事件は普通の尊厳死を飛び越えて、結果として「殺人事件」になってしまうわけです。


実のところ、このような突然の患者の病状のゆらぎといいますか、予想外の変化は、医療では珍しいことではありません。医療は、基本的に予想外の変化をする生き物を扱っているわけですから、普通の医療と殺人事件は常に隣り合わせにあり、境目は、常にゆらゆらと揺れています。こうした医療の「ゆらぎ」を法律がどのように扱うか、というのが、この映画のテーマなのだと思います。


当然、法律で生死の問題を扱うときには、生と死の定義、脳死状態とは何か、終末期とはどのような状態か、といったような厳密な法律上の定義が必要です。ですから、法律には、このような「ゆらぎ」を受け入れ難いのです。


この映画では、この2つの正義、大沢たかおの演じる検事の規範的で法律的な正義と、草刈民代の演じる女医のゆらいでいる曖昧な正義が衝突します。


難しい問題を考えさせられるいい映画です。


以下、少し苦言っぽい話。

医療従事者の視点から見ると、こんな治療はいまどきやらないだろうというような少々首を傾げるような「喘息治療」が出てきました。
あと、喘息のような自宅でのケアが重要な疾患で、患者の自宅での生活の様子が全く描かれないのは、少し問題かな、とも思いました。作中の女医さんは、一人で病院で奮闘しており、作中では病院に来た時の患者しか描かれません。これが、この映画の医療に関する認識なのかもしれませんが、もし、病院だけでなく在宅医療等の活用があれば、もう少しマシな経過をたどったのではないかとも思います。そういう意味では、この映画の事件は、現在の極端に病院中心の医療が起こしてしまったトラブルとも感じます。

原作者は、特に医療が専門というわけではなく法律が専門の人ですので、医療に関する細かい描写には少しどうかと思うところもありますが、瑣末なことと思います。そういったことで価値が減ずることのない良い映画と思います。


最後に

僕自身は、リビングウィルというのは、本当のところどうなんだろうと少し疑問に思っています。
自分が重たい病気にかかると、人生に対する考え方というのは大きく変わります。
単なる延命治療は受けたくない、チューブがたくさんつながって、ただ生きているだけになるのは嫌だ、と元気なときに言っていた人が、いざ死を目の前にすると、少しでも長く生きたいと言う意見に変わるのも何度も見てきました。理由は様々です。チューブだらけになっても孫の小学校の入学式まで生きていたい、娘の結婚式までは生きていたい、みたいなことを言う人はたくさんいます。そういった理由はなくても、死を前にすると、死布は怖くなる、死ぬのは嫌だ、というふうに考え方が変わるのはごく普通なことです。
逆に、少しでも長く生きたいと言っていた人が、こんなふうになってまで生きたくなかった、と言い出すこともあります。
ハンコをついた書類の上での「本人の意志」と違って、本当の本人の意志というのは、非常に移ろいやすいものです。
もちろん、本人の意志が変わってしまう以上に、本人の意識が混濁し、本人が今どう考えているかがわからなくなってしまうというケースのほうが圧倒的に多いのも事実です。
どうしたらいいものか、僕の結論は、まだ出ていません。

2012年10月22日月曜日

来年には、ようやく、便利な健康管理のサービスが普及し始めるか

個人の健康管理のための情報ツールを、PHR(Personal Health Record)と言います。血圧や体重、病院での検査結果などの情報をひとまとめにして見られるようにしたり、いろんな健康専門家のアドバイスを受けられるようにした情報ツールです。医療IT関連の世界でも、非常に多くのアイデアが登場しては消えていく分野のひとつです。最近は、「健康情報を管理できるウェブサイト」としてPHRを実装しようって企画が多いようですね。

どれも、使ってもらえさえすれば非常に良い製品なのだと思うのですが、期待されているにも関わらず、中々みんな使ってくれない、使い始めても面倒くさくて持続しない、持続しても、サービスを提供している会社としては収益にならない(少なくとも、商業的に大きく成功した例は世界にまだひとつもないのではないかと思います)、という感じで、非常に大変な世界です(この春先にぼくもやろうとしていたのですが、色々トラブルがあって頓挫しました)。そういうわけで、この世界では、期待が大きい分だけ、いろいろな企業が参入してきて、しかし、全くうまく行かずに撤退するということを繰り返しています。本当に死屍累々という感じです。

もっとも、ウェブというのは、そもそも、常に新しいサービスが大量に生まれて、その大部分がごく短い間に撤退していくような世界ですので。死屍累々は健康管理のサービスに限らないのかもしれませんが。

健康管理のために何かのITのツールを使うというのは、ごく自然で有意義なことですし、僕としては、今は死屍累々でも、いずれ、この分野でも何らかのウェブサービスが普及するんじゃないかな、と思っています。

ミッシングリンク

今では、スマートフォンに取って代わられて、ほとんど見かけなくなりましたけれど、少し前まで、PDA(Personal Digital Assistant)っていう種類の製品群がありました。予定表や電話帳など、いろんな情報を簡単に管理したり調べることができる手のひらサイズの小さなコンピュータのことです。ザウルスやPalmなどのことって言えば、当時を知っている人は分かるでしょうか?当時を知らない若い人は、今のスマートフォンから携帯電話の機能を取り除いたような製品、と考えてもらっても結構です。

実は、この種の製品は、はじめは全然売れませんでした。まさに死屍累々。

「手のひらサイズのマシンで個人に必要な情報を管理できたら便利だろう」というアイデアは、多くの人が持っていました。ごく自然なアイデアですからね。ですから、多くの会社がこの分野で製品を企画しました。でも、そのほとんどが期待されたほどは売れず、商業的には成功したとは言いがたいものでした。

多少売れた製品もありました。SHARPのザウルスなどがそうでした。しかし、そういう製品も、購入した人たちの多くは使いこなせなかったのです。多くの人は、様々な機能をしばらく試した後、結局、単に、机の中に放置することになったのでした。僕自身も、こういう製品は大好きでしたので、いくつか買いました。でも、実際に使ってみると、買うときに想像していたよりもずっと、電話帳や予定表などの情報の入力や管理が面倒臭く、結局、全然長続きしなかったのです。

この状況が劇的に変わったのはPalmが登場した時でした。Palmは、PCとデータの同期をする機能を持ったはじめてのPDAでした。それまで誰も思いつかなかったのが不思議なくらいですが、それまでは、携帯端末とPCの間で、データの同期はできなかったのです。そして、電話帳などのデータ入力が面倒だったのは、手のひらサイズの小さなキーボードでなんとか入力しようとしていたからだったのです。

データ同期ができるようになって、PDAは一気に普及しました。

PDAが快適に使われるために必要な機能のうちで最後に実装された「データ同期機能」は、いわば、携帯端末のミッシングリンクだったのです。

つまり、PDAには、長い間、それを便利に使うための機能が一つだけ欠けていたのです。そして、PDAがあればきっと便利だろうと考えて製品を企画していたメーカーの人たちも、長い間、みんな、そのたった一つだけ欠けた重要機能が、自分たちの製品には足りないことに気が付かなかったのでした。

もちろん、PDAの後継者である、今のスマートフォンにもPCとのデータ同期機能はついています。

先に述べたPHR(健康情報管理ツール)も、使ってもらえればきっと便利なんだろうと思います。きっと、将来は普及すると思います。あれば便利だと思うから、多くの会社の人たちが企画するのです。でも、今は、一向に使ってもらえない。おそらく、PDAの時と同様、ひとつかふたつ、一度思いつけば当たり前にしか見えないようなミッシングリンクがあるのだと思っています。

バーティ

先日、とあるベンチャー企業の創業2周年のパーティに呼ばれ、参加してきました。医療IT関連の事業を手がける会社で、創業以来、応援させていただいている会社です。

パーティの席で、久し振りに会った社員の方と話すと、なにやら新事業を検討しているとのこと。で、詳しく聞いてみると、その新事業というのが、生活習慣病患者のためのPHRなのでした。

どの会社にとっても、現時点では、PHRで成功するのは難しいと思っています。何がミッシングリンクなのか誰にもわからないからです。

僕のように、「とりあえず採算度外視で小さくやってみた」というのであればともかく、商業的に収益をあげなくてはいけない立場であれば、余程の成算がなければ手を出すべきではないのではないかな、と思っていました。

というわけで、正直、あまり期待はできないな、と思いながら、でも、自分でも関心の強い分野ですので、具体的なサービスの内容について聞いてみました。

聞いてみて驚きました。サービスモデルについてはともかく、収益モデルについては、このうえなく斬新な方法だったのです。たぶん、収益モデルとしてはこれしかないんじゃないかな、と思いました。

どういうやり方なのか、まだブログなどには書けないのですが、非常に面白い試みだと思いました。

そういうわけで、ミッシングリンクのうち、少なくともひとつは見つかったのではないかな、と思っています。ミッシングリンクが見つかれば、あとは普及は早いのではないかと思っています。

近い将来、おそらく、来年辺りには、便利な健康管理のためのサービスが次々普及し始める可能性は大きいのではないかな、と思っています。

2012年10月15日月曜日

健康法レビューサイトについての反応

facebookに健康法キュレーションサイトに関する記事を投稿した時の僕のfbのfriendの反応です(コメントされた方のお名前はふせさせていただきました。ここにコメントを転載して欲しくない方はおっしゃってください。削除いたします。)。


スマートフォンって携帯端末でなくて自分自身のリモコンなのかなと思って来ました
そういう比喩は思いつきませんでした。どこかで使わせていただきます。


継続的にやるにはマネタイズが必要だと思うのだけど、キャッシュポイントはどうします? 
これが、妙にスポンサをつけてしまうと、レビューサイトにありがちなことが起きてしまうわけですが。
 マネタイズが一番の悩みどころです。スポンサーをつける、レビュー対象の健康法で使われるような商品について広告を出したり、あるいは、そういった商品の共同購入などをやる、などが一番簡単なんでしょうが、あまり安易なマネタイズはレビューの信頼性を損なうことになると思っています。可能であれば寄付などを募って運営したいと思っていますが、それでお金が不足すれば、可能な限り、レビューの信頼性を損なわないマネタイズ方法を検討していく事になると思います。

微力ながら是非協力したいです。ライフログとヘルスは交わるはずです。ヘルシーライフログですね。
私も他の方の意見を聞きたいので、m3、メドピアやwellnoteなど拝見しています。 
一部医師は病気の専門家ですが、健康の専門家はさらに少ないと思いますが、、、 
有効性だけでなく危険性との2軸での評価は必須です。 
健康法の評価だけでなく、健康法を評価する医師の評価も組み合わせて下さい。 
ヘルシーライフログをとっている人のイベントデータ・コホートデータも集めてベイズでそれぞれの健康法を足したり引いたりしたときのRRをリアルタイムで計算はどうでしょう
 ありがとうございます。評価する医者の評価は、おそらく、それほど難しくないと思います。信頼できるレビューが揃ったら、ヘルシーライフログのツールも提供したいです(本来は、それが目的です)。そして、十分な量と質のヘルシーライフログのデータを収集でき、ある程度、各種の不確かな健康法の評価ができるようになれば、専門化レビューの役割は、少なくとも、その一部は終わることになるんじゃないかと思います。

これは米国の話のようですが。寿命が延びたのの80%はpublic health effortsによるものだったとか。 
During the 20th century the average life span in the United States increased by almost 30 years. However, less than 20% of the increased life span can be attributed to medical care, while public health efforts deserve the credit for the remaining 80%. Nearly all these gains are due to programs and policies that address social and environmental factors that influence our health. 
http://www.willamette.edu/centers/publicpolicy/projects/oregonsfuture/PDFvol3no2/F2Mosbaek7.pdf 
追記: 適当にググった資料でしたが、educationによるupstream approachの弱点(社会的弱者に届きにくい。健康に良いことを知っている≠実行できる環境が整っている。)などについても記述されている良資料でした。
読ませていただきました。おっしゃる通り、upstream approachの限界はあると思います(特に、貧困層に伝わりにくいというのは、僕としては非常に嫌なところです)。僕以外の別の誰かが、その人が得意なアプローチでその方面に貢献してくれることを祈っています。



健康法キュレーションサイトの計画。

以下は、僕が数日前にfacebookに投稿したポストです。
病気の予防や健康の維持には、医者のやる治療などよりも、しばしば、家庭や職場、学校などでの普通の生活習慣のほうが大きな影響を与えます。そこで、僕としては、そういう日常生活に良い影響を与えるような医学の仕事をしたいと思っています。

そういうわけで、いま、医師による健康法レビューサイトみたいなものを作りたいと思っています。
いきなりで意味がわかりにくいでしょうか? 順を追って説明していきます。
実は、僕、昨年の末くらいから少しの間、患者の家庭での健康維持のための活動を支援するウェブサービスをテスト的に期間限定でやっていました。 
どういう内容かと言いますと、主治医(つまり、僕)と、それぞれの患者が、自分の健康のためにやったほうがいい簡単な毎日のタスクを相談して決めて、それを、ウェブやスマートフォンでアクセスできるTODOリストにするのです。 
TODOリストは、できるだけ毎日アクセスしてもらって、そのタスクを実行できた度に、チェックをしてもらっていました。 使ってもらう対象ユーザーは、自分が定期的に診察していた患者から選びました。 
もしうまく行けば、広く一般の人に使ってもらおうと思っていましたが、やっているうちにいろいろ問題にぶつかり、辞めてしまいました。 
いろいろ問題はあったのですが、最大の問題は、健康に良いと言われている習慣についての科学的なデータが不足していたことでした。 
スマートフォンを使いこなしているような世代の患者にこの種のサービスを使ってもらうと、患者は、どんどん自分の生活改善のためのタスクを増やしていきたがるんです。 
「ご飯を食べる順番をこういうふうにしたらいいってテレビで言っていたので、これもタスクに加えたい」 
「ナントカを食べなければ病気になりにくいって聞いたから、これも」 
そういって患者が提案してくる「生活改善」には、科学的・統計的根拠の明快なものもあれば、そうでないものもありました。また、健康に良いという生理学的な理屈が付きそうなものもあれば、反対に、これが患者の体の中でどういう現象を起こすのか、自分の知識では全く判断がつかないものもありました。 
そういう、患者の提案する「健康法」の大部分は、残念ながら僕にはすぐには良し悪しを答えられないものでしたし、診療後に文献等を検索しても、やはり科学的なデータを見つけられないものが多かったのです。そういう、自分には良し悪しがわからない「健康法」について、自分だけの意見で人に勧めたり、反対に批判したりするのはマズいと思ったのです。 
これまでも、患者には紙の記録を薦めてきました。その中で、そういう「健康法」の大量提案を受けたことはありませんでしたから、ひょっとすると、スマホを使った電子記録は、紙の記録より中毒性があるのかもしれません。そのアプリでやってることは、タスクリストをポチッとチェックして、画面が変わって、それだけなんですけれどね。

そこで、こういう患者向けサービスよりも前に、良い健康法についてのレビューみたいなものが必要なんじゃないかと思うようになりました。 
ちょうど、Amazonや食べログのレビューのように、様々な健康法について、医師などの専門化が評価の星をつけたりコメントを書いたりできるようにし、評価の平均やそれぞれの医師の評価やコメントを医師以外の人が見られるようにするのです。 無数に流通している日常生活での健康ハウツーについて真偽を明確に決められるような科学的な証拠は、現時点ではあまりありません。しかし、それでも、その分野の診療経験のある医師に聞けば、何らかの意見が得られるのが普通です。

また、多くの医師は、明確な統計的データがない問題について、自分以外の医師の多数がどう考えているか知りたいと思うでしょうし、他の医師と意見を交換したいと思うはずです。 
医師以外のユーザーからみても、 
「ナントカが健康にいいという科学的な証拠はまだはっきりしないけれど、その分野のお医者さんの80%が、自信の経験から、たぶん健康に良いと思っていますよ。」 
とか 
「現時点では、ナントカが体に悪いという証拠は明確ではないんだけれど、その分野のお医者さんの70%が、それを避けたほうがいいと思っているみたいですよ。」 みたいな話っていうのは、余程のことがない限り、従っておいたほうがいいはずです。

「医師が書く健康法」みたいなジャンルの本があります。多くの先生が薦めたくなるような本もありますが、変なお医者さんが書いた、自分だけの思い込みで書かれたような健康法の本もあります。最近だと、50代なのに30代にしか見えないとかいう先生のどうでもいい本がベストセラーになりましたね。ああいう本を読んだ人が、そこに書かれているのが平均的な多数派の医師の意見なのか、それとも、その人だけの少数意見なのか、今の時点では、調べる方法が不足しているように思うのです。

たぶん、近い将来、多くの人が、スマートフォンのような端末で自分の生活を記録する時代がやってきます。その時、今以上に、日常生活の中での多様な健康法について、医師が質問を受けるようになるでしょう。スマートフォンのような小さな携帯端末は、僕達が、今まで以上に日常の行動や考えていることをより細かく記録したり、コントロールしたりすることができるようにするツールだからです。

もちろん、多数決で科学的な結論を導くことはできませんし、多数派が間違っていることも多くあります。でも、専門家のうちで多数派はどう思っているのか、意見が聞いてみたいということは多くあるでしょう。少なくとも、僕自身には、自分以外の多数派の医師の意見を聞きたい問題がたくさんあります。

みなさま、どう思われますか?
引用は以上です。というわけで、こういう趣旨の健康法キュレーションサイトを作ろうと考えております。

実際にコードを書き始めるより前に、多くの人の意見を聞いてみたいと思いまして、皆様の意見を集めるためにこのブログを始めました。

いろいろなご意見、コメントでいただければ幸甚です。

2012年8月2日木曜日

Test

「lorem ipsum」は様々なバリエーションがあるが、もっとも一般的なテキストは以下の通りである。
 Lorem ipsum dolor sit amet, consectetur adipisicing elit, sed do eiusmod tempor incididunt ut labore et dolore magna aliqua. Ut enim ad minim veniam, quis nostrud exercitation ullamco laboris nisi ut aliquip ex ea commodo consequat. Duis aute irure dolor in reprehenderit in voluptate velit esse cillum dolore eu fugiat nulla pariatur. Excepteur sint occaecat cupidatat non proident, sunt in culpa qui officia deserunt mollit anim id est laborum.