2014年2月3日月曜日

都知事って何をする仕事か、実は僕達はあまり知らない。

都知事選が話題になっています。

で、その中で、都知事の権限についても話題になっています。
いまさらなんですが、どうにも、僕は、都知事の権限の範囲ってのが、よくわからないんです。

そもそも、都の仕事って、なんなんでしょうか?
都の政策とか都のサービスってのがあるのは知っています。でも、各区市には、それぞれの区市の政策や予算があるわけです。もちろん、国には国の政策があるわけです。正直、身近な話題の中で出てくる公共の仕事の中で、どこまでが都の仕事でどこからが国や各区の仕事なのか、正確に説明できる人はどれくらいいるんでしょうか?

正直、僕は、これまで、そのあたり曖昧な理解のままで生活してきました。都庁の普通の仕事を、少なくとも僕はあまり知りません。

しかし、そういう都庁の通常業務については、僕達は、都知事が相当に変な人でも、それほど滞りなく行われるというのも知っています。これは、歴代都知事に対する普通の観察から分かることです。おそらく、多くの都知事はあんまり都庁の通常業務には関与しないで事務方に任せきりなんでしょう。

その一方で、東京都は非常にパワフルな自治体です。ですから、しばしば、都知事は「越権行為」のようなこともやるし、できてしまうわけです。どちらかというと、僕達が記憶している都知事の仕事っていうのは、その「越権行為」のたぐいです。

たとえば、石原さんの時代、東京都が、いきなり銀行に外形標準課税をやろうとしたことがありました。あれ、国との間で結構もめていましたが、本当のところ、都が余分に税金を取ることって、どこまでが許されていて、どこからが越権行為なんでしょうか?

都は、しばしば、独自の「外交」もやります。これも、自治体としての正規の権限というよりも、東京という街の国際社会における経済的影響力や情報発信力を背景にした行動なんだと思います。

東京に関係のない仕事も、しばしば都知事は首を突っ込みます。最近だと、東京都が、いきなり尖閣諸島の土地を買おうとした騒ぎもありました。

東京都民にかぎらず、日本の大都市の市民は、しばしば、国の施策と対立する、国にモノを言える首長を選びます。

知られている通り、日本の国会議員の選挙では、大きな一票の格差があり、そのため、国会議員は、しばしば、地方から優先して選ばれます。そうして作られた政府によって、東京や大阪などの生み出す経済的な果実の相当部分が地方に分配されます。都市の市民は、そういう政府の予算配分に大なり小なり不快感を持っています。ですので、大都市民は、そういう地方を代表する政府に反発し、自分たちの首長として、大都市の立場を代弁して国と対決してくれる政治家を選びたがるのです。

例えば、前都知事の猪瀬さんも、その前の石原さんも国の地方を優遇した予算配分に反発する発言をし、また、そういう政府に対立する行動をしていました。大阪の橋下さんもそうです。そういう「国と対立する大都市首長」というのは、僕達にとって見慣れた光景です。

そして、東京には、政府との対決を可能にするだけの力があります。東京は、世界でも有数の巨大都市で、それ自体、ほとんどの国より大きな人口と予算を持つ国家のようなものです。また、日本のどの都市と比べても群を抜いて巨大な都市です。ここには、日本の人口の1割、GDPの2割があり、国税収入の4割を納め、企業の本社の5割、株式売上高の9割、テレビのキー局の10割があります。

たぶん、東京都知事の権力の中では、東京という巨大都市の力を背景にした「影響力」のほうが、法的に認められた都知事の権限よりも、はるかに大きいんじゃないかと思います。みんな、なんとなく、それがわかっているんでしょう。

今回は、原発の是非を争点にしようとした候補、細川さんや宇都宮さんがいて、その一方で、そもそも、東京に原発なんてないし、原発を云々するのは東京都知事の仕事じゃないんだから、原発を争点にするのはおかしいって言う人がいて、ずっと議論になっています。

たしかに、原発の是非を決める権限を持っているのは、都知事じゃないんでしょう。でも、もし、都知事が本気で脱原発を主張したいなら、都は、いくらでも手を打てるでしょう。たとえば、都が、再稼働を検討している原発の周囲の土地を買い占めて、立入禁止にするとか、再稼働を決めた電力会社に、都税を課すとか。もし、都が本気で嫌がらせをしたら、国は、なにがしかの対応をせざるを得ないのではないでしょうか?
 
先日、演説を聞いた田母神さんは、災害時に自衛隊の力を活用することを約束していました。ハッキリとは言いませんでしたが、自分が都知事になったら、自衛隊は都知事が指揮する、っていうニュアンスを込めた言い方だったように思います。でも、たしか、東京都知事には、自衛隊の指揮権はないはずです。だからといって、彼が、できもしない約束をしようとしているというのは違うと思います。もし、都知事に自衛隊経験者がついて、都の権限を利用して自衛隊と交渉すれば、ひょっとしたら、なにかできるのかもしれません。

言っていることが散漫になってきたので、まとめます。
東京都知事について
1,そもそも、都庁の普通の仕事を、実は、僕達はあまり知らない。
2,しかも、都庁の普通の仕事は、都知事が口を出さなくても、都庁の一般職員が普通にこなしてくれる。
3,都庁の普通の仕事以外の都知事の仕事については、一体何ができるのか、さっぱりわからない。

さて、どうやって選べばいいんでしょう?
僕としては、東京が、今後もさらに経済的に成長すると考えてくれている人、そのためには国との対立も辞さない人、あまり、都知事の法的な権限の範囲内の仕事にとどまらない行動をしてくれる人、を選びたいのですけれどね。

1 件のコメント:

  1. 言われて見たらそうですよね。

    自分の場合は立候補者の中の一人が、解決して欲しい問題に対し
    前向きに取り組む姿勢だったので、「この人でいっか」程度で決めました。

    いろんな人を詳しく調べてもみたいけど、使える時間は限られてるし
    選挙に行かないよりかはマシかなーって感じ。。

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