2014年9月7日日曜日

KindleのUI/UXについてのつれづれ。

本を、電子書籍リーダーやタブレットなどで読むことと、同じ内容の本を紙の本で読むことは、どれくらい同じ体験で、どれくらい違う体験なんでしょうか?

僕は、AmazonのKindleが大好きで、Kindle端末を二台(Fireとpaperwhiteを一台ずつ)持ち歩いています。
特に、e-inkを採用したpaperwhiteが気に入っています。高画質のe-inkディスプレイは、通常のディスプレイに比べてはもちろん、紙のドキュメントに比べても、ずっと目が疲れにくく、紙の本よりも長時間の読書ができます。通常のディスプレイを使ったiPadなどのタブレットでは、そうはいきません。

元々、読書量は多い方だったのですが、kindle paperwhiteを手に入れてから、これまでよりも、さらに、ずっと多くの本を読むようになり、また、これまでは読まなかったようなジャンルの本も読むようになりました。おかげで自分の世界が大きく広がったと思っています。

こういう、コンピュータで自分の人生そのものが大きくかわったような経験は、大学時代にはじめてインターネットに接続した時以来です。

電子書籍バンザイ!

そんなふうに気に入っているkindleですが、いくつか、不満もあります。
現状、一番気に入らないのは、「本を読み進めている感じ」が足りないことです。

物理的な本を呼んでいるわけではないので、本の厚さ、つまり、全体でのお話の長さが実感としてわかりにくく、また、自分が、いま、その厚さの本のどのあたりを読んでいるのか、がわかりにくいのです。

それで、
「もう少しで終わってしまう。もったいないのに、面白くて、どんどん読み進んでしまう。」
とか、
「まだ、こんなにページがあるのか。これは、今日、全部読んじゃうんじゃなくて、じっくり腰を据えて、次の休みの時にでも、じっくり読んで楽しめる本だな。」
みたいな、そういう「本を読み進めている感じ」がどうしても感じにくい。
あの、「感じ」は、本好きにとっては、たまらない心地よさなのであって、あの「感じ」がないのは、やっぱり物足りないな、と思います。

・電子書籍に移行することで失われる読書体験の中身が少し判明
こういう記事がありました。

視点は少し違いますが、ここで書かれていることは、僕がここで書いているのと、ほぼ同じだと思います。

これは、やる気さえあれば、そういう読書体験を楽しめる電子書籍リーダーは簡単に作れると思うんですけれどね。要するに、本の厚さと自分が読んでいる場所が体感的にわかればいいのです。

たとえば、電子書籍を選ぶ画面で、表紙の表面の画像だけでなくて、本の厚さがわかるように背表紙の画像も見せるのです。
背表紙が並ぶ画面で一冊本を選んでタップすると、本の表紙が大写しになって(その際、何度も読んでいる本だったりしたら、本のヘリに付箋の画像なども見えるといいかもしれません)、さらに、本の表紙をタップすると、読書開始。
というふうにするのはどうでしょうか?

読み始めた後も、ページの左右に、未読のページと既読のページのヘリの部分がリアルに見えているような画面構成にしてはどうでしょうか?

また、タブレットや電子書籍リーダーに「動くおもり」を入れてもいいかもしれません。
日本語縦書のように、右から左に読む本の場合、読み始めでは、タブレットの左半分がずっしりと重たく、読み進むに連れて、左側が軽くなり、反対に右半分が重たくなってくるというのはどうでしょうか?紙の本を読んでいるときは、読み始めは、未読側のページを支えている手が重く、読み進むに連れて、既読側のページを支えている手が重くなってきますよね。アレをエミュレーションするのです。

今日は、そんなことばかりを考えているのですけれど、でも、今の電子書籍リーダーの、読んでいる場所がわかりにくいという性質は、悪いことばっかりでもないとも思います。
逆に、こういう、順序やページめくりの感覚が弱いという電子書籍の性質が、別の種類の読書体験につながることもあるかもしれません。
 
僕は、Kindleで谷崎潤一郎読んでて気がついたんですけど、小説の時間の流れが分かりにくくなると、あの種の変態的な人間関係の描かれる小説は、永遠に変態地獄が続くように感じられて、紙の本で読むより息苦しいのです。

同じように、ホラー小説のたぐいも、先が見えにくいほうが永遠に恐怖の時間が続くように感じられて、面白く読めるかもしれません。
 

映画館で映画見るのとテレビで映画見るのの違いみたいなもんで、コンテンツが同じでもメディアが違うと、体験は変わるのだと思います。

とはいえ、いずれ、こういう紙の本を模しただけの電子書籍はなくなっていくんでしょうね。コンピュータで動くのに、いつまでも、紙の本のシミュレーションをし続ける必要もないと思います。
将来は、絵本の挿絵が、立体動画になったり(僕は、できれば、そういう演出のついた電子書籍版の「くまのプーさん」が読んでみたいと思っています。たぶん、ディズニーのプーさんのオリジナルを見たことのある人なら、みんな、同意してくれると思います。)、あるいは、ゲームやバーチャルリアリティつきの本(VR体験付きの、「ネバーエンディング・ストーリー」などは、いかがでしょうか?)

いずれ、そういう電子書籍が出てきたら、僕達は、更に楽しめるようになるんでしょうか?
想像するだけで、わくわくします。

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