2016年3月14日月曜日

神楽坂すしアカデミーに行ってきました

ずっと、気になっていたんです。

ネットで、合理的な考え方をすることで有名な人たちが、
「寿司屋になるために、なにも長期間下働きしながら修行なんてしなくていい。寿司屋の学校で勉強したほうが早い。」
みたいな発言をしていて、それに対して、ちょっと保守的な考え方の人たちが、激しく反論していたことがありましたよね。

で、本当のところ、学校で寿司を学べるのだろうか、と。一度、寿司学校で寿司を学んできた板前の寿司を食ってみて決めても良いのではないだろうか、と。

で、行ってきました。以下、感想を書いてみます(為念。当然、私が店に行ってきた時の感想ですから、他のタイミングで行った人は、また違う感想を持つかもしれません。)。


結論。
結論から言いますと、決して旨くはありません。安い回転寿司よりすこしマシという程度です。

接客オペレーションについて。
ネットでは、この店の接客オペに問題があると批判が出ていました。
私の印象としては、接客の態度や店員教育が特に悪いとは思いません。けど、この店でトラブルが頻発するのは理解できます。
注文の受け方、料理の配膳の仕方など、少々特殊なルールがいくつもあり、わかりにくいのです。
ルールは、殆どが、食べ切れない量の寿司を注文させないためのルールです。おそらく、寿司の食べ放題ということで、食べ切れない量の寿司を一気に注文する客が多かったのでしょう。その対応で他の客のオペレーションが滞るというトラブルもあったのでしょう。おそらく、それに対応しようとして、注文のルールをいろいろ追加していったのだろうと思います。
ただ、そのルールが煩雑で理解が難しいのです。私が食ってる間にも、店内で、ルールが理解できず店員に食ってかかる人がいました。

板前の腕と寿司ネタ。
ネタ、ハッキリ言って、あまり質が良くなく、大きさも小さいです。まあ、価格も3000円で食べ放題ですから、こんなもんかも知れません。
板前の腕はピンキリです。
私が行った時は三人板前がいましたが、一人は、ほとんど素人みたいな包丁さばきで、握り方も下手くそでした。
ほか二人は、普通の安い寿司屋並みだったかと思います。
そういうわけで、最初に書いたように、あまり旨くありません。神楽坂で食うなら、もっと旨い店が周囲にいっぱいあると思います。
ただ、寿司学校の批判をしている保守的なひとがいうような、寿司屋の伝統には学校などでは学べない大事ものがあるというような話ではなくて、何か、工夫で乗り切れそうな種類の問題が多いような気がしました。

板前と寿司学校について。
最後に、私、個人的に気になっていたのは、どういう人が、こういうところで板前として働くのだろうか、ということです。
学校に安くない授業料を支払い、その上で、こういう店で、おそらくは決して高くない給与か、あるいは無給で働くというのは、普通の寿司屋で下積みをするのと比べて損とまでは言いませんが、すごく得とは言いにくい気がするからです。
また、最近は、大手の寿司チェーンが作る社員研修システムもあります。
そういう中で、どういう人がここに来るんだろうか、と。

実は、私が一番驚いたのは、板前の年齢層が高いことなんです。
私が行った時いた一番若い板前は40前後、次が60くらい、一番高齢の方は70近いくらいの方に見えました。

私が思ったのは、これまで、こういう年齢層の人が、第二の人生として寿司職人を目指すルートというのはなかったのではないかということです。
伝統的な寿司職人の世界では70で見習いを始めるとか言っても門前払いでしょうし、大手チェーンの入社試験もその年齢では厳しいでしょう。
でも、実は、高齢になってから職人を目指してみたくなる人というのは、これまでそういうルートがなかっただけで案外多いのかもしれません。
もう一つ、昨今の求人の状況では中高齢男性の再就職市場は慢性的に厳しくなっています。ですので、ひょっとしたら、その年齢層の人にとって、普通の就職を止めて寿司学校に行って職人を目指すという選択肢のサンクコストは小さくなっているのかもしれません。
また、もうひとつ厳しく言えば、この業態は、中高齢男性の生きがい搾取的な側面もあるのかもしれません。



で、私は思うんですが、ややこしい注文ルールを作るよりも、食べ放題やめて、もう少し旨いネタでやったほうが良いですよ。

良いネタ使えば、そこそこ良い寿司になると思います。

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