2016年6月27日月曜日

親にはわからない「小学生の悩み事」に答えてみる。その2

前の続きです。
すぐにでも、つづきを書くつもりだったんですが、忙しくて、随分時間が立ってしまいました。
この記事にある、「小学生の悩み事」に答えてみるエントリーです。

  1. なぜ勉強しなくてはいけないのか
  2. 友達ができない
  3. 死んだあとどうなるのか
  4. 運動が苦手だ
  5. 人前でうまく話せない
  6. もっと小遣いがほしい
  7. 兄弟姉妹と比べられるのが辛い
  8. ペットの死が悲しい
  9. 朝なかなか起きられない
  10. キレイに(カッコよく)なりたい

前回は、このうち、1位の「なぜ勉強しなくてはいけないのか」に答えてみたのですが、今日は、いったん、2位の質問を飛ばして、3位の質問「死んだあとどうなるのか」に答えてみようと思います。
というのも、この3位の質問に対する、大人たちの答えが、あまりにもひどいと思うからです。

というわけで、書いてみました。例によって、少し長いです。

いま、あなたは、「死んだあとどうなるのか」について悩んでいるそうだね。

じゃあ、まず、話の本題の前に次のことを確認してほしい。

あなたは、いま、極端にお腹が空いていないか?最後に食事をしてから二三日何も食べていないということはないか?あなたの今いるところは、寒すぎないか?あるいは、反対に熱すぎないか?あなたは、体調が悪かったり、大きな怪我をしたあとではないか?何かの病気の治療中ではないか?

特に最後。もし、自信がなかったら、だれか医者に相談してみてほしい。

人間の心と身体はつながっている。 だから、身体の調子が悪かったり、身体の周りの環境が悪かったりすると、訳の分からない不安に襲われたり、ものがかんがえられなくなったりすることがあるんだ。

そして、体の調子が悪いせいで心が不調に陥って悩んでいる状態と、「死んだらどうなるのか」みたいな簡単に解決の付かない悩みを考えている状態って、本人にとっては、なかなか区別がつかないものなんだ。だから、ただ単に体調が悪いだけなのに、哲学的に難しい問題を考えているつもりになっている人というのが、世の中には結構いる。だから、まず、自分の身体の調子は大丈夫か、自分はちゃんとご飯を食べているか、部屋のエアコンのスイッチは入っているか、確認してほしい?

あなたは健康?問題ない?

じゃあ、先に進もう。

さて、私も、昔、死んだらどうなるのかが気になって仕方がなかったことがある。
夜中に急に不安になって眠れなくなったりしたこともある。また、まわりの大人たちに死んだあとどうなるのか質問して、「そんなこと考えなくていいよ。もっと楽しく前向きに生きよう。」なんて言われて、自分がおかしいのだろうかと感じたこともある。

でも、安心してほしい。おとなになって振り返ってみるとわかるんだけれど、「死んだらどうなるのか」みたいな問題で悩むのは、ごく普通の健全なことなんだ。もちろん、そういう悩みをどれくらい強く持つのかはひとによって全く違う。本当に毎晩のように不安になる人もいるし、人によってはさらに、昼間も不安になる人もいる。反対に、ほんの少しだけしか不安にならない人もいる。

だから、「もっと前向きに楽しく生きよう」と考えることで不安感を吹っ切れる人もいれば、ずっと、そのことで悩む人もいる。あなたがどれくらい深く悩んでいるのかわからないけれど、もし、あなたの悩みが、そういう言葉で吹っ切れる程度であれば、それはそれで、あなたは幸せだと思う。悩みを忘れて生きていってもいい。

で、もし、あなたのこの悩みが、簡単に忘れられないほど強いものならば。

おめでとう。たぶん、あなたは、そういうすごく大事な問題を考えるために生まれてきたんだと思う。
大いに悩むといい。悩んで勉強するといい。そうすれば、なにかわかるようになるかもしれない。

さて、「死ぬとどうなるのか」 については、究極的には、誰もその答えは知らない。誰も、死んだことがある人がいないからだ。もちろん、死んだらどうなるって話をまことしやかに話すいんちき臭いまじない師や霊能者はあちこちにいる。テレビにも出てくる。でも、そんな連中は信用できる連中ではない。あなたの生死に関わる問題の答えを委ねていいような連中ではない。つまり、あなたの信用できる人間は、誰も死んだことがないんだ。誰も本当の答えは知らないんだよ。

じゃあ、考えても無駄じゃあないかって?
さっき、なにかわかるようになるって言ったのは、嘘だったのかって?
そうでもない。こういうことは考えることはすごく大事なんだ。世界には、そういうことを真剣に考えたことのある人じゃないとわからないことっていうのもいっぱいあるんだ。

あなたは、まだ子供だけれど、将来もずっと、こういう悩みを持ち続けていたら、こういう問題に関するいろいろな本を読んだり、いろいろな人の話を聞いたり、いろいろな人と議論したりすることになるかもしれない。

そうしたら、長い歴史の中で、どれほどたくさんの人間が「死ぬとどうなるのか」っていうことについて考えてきたのか、知ることになるだろう。そういう人の中には、上に上げたようないんちき臭いまじない師のたぐいもいっぱいいるけれど、「死ぬとどうなるのか」っていうことについて誠実に考えて、それなりの結論を出した人たちがいっぱいいることも、きっとわかるようになると思う。

私は、さっき「死ぬとどうなるのか」の答えは誰も知らないって言った。そういう問題に、それなりの結論を出した人がいっぱいいるってどういうことだろう。

実は、ちょっとしたトリックがある。
もちろん、「死ぬとどうなるのか」なんて、どれだけ考えてもわからない。でも、わからないけれど、いずれ、みんな死ぬ。
そういう、「誰にでも必ず起こることなのに、わけがわからないこと」に対して、どういう態度で望むべきか。実は、「死ぬとどうなるのか」という問題に結論を出した人たちは、みな、「死ぬとどうなるのか」という問題に結論を出そうとしながら、そのかわりに「人間は死ぬことをどう受け止めるとよいか」という問題に結論を出しているんだ。実は、この2つの問題は、ほとんど同じものなんだよ。

そして、その「人間は死ぬことをどう受け止めるべきか」という問題の答えは、その答えだけどれだけ読んでも、「死ぬとどうなるのか」について真剣に悩んだことのある人間以外には、なかなか理解しにくい話なんだよ。
「死ぬとどうなるのか」に悩むことでわかるようになることがあるっていうのは、そういうことだ。

最後に。
「死ぬとどうなるのか」みたいな話を悩む人をバカにする人が、世の中には結構いる。でも、この問題に悩むことは、たとえ、人に馬鹿にされても大事なことだ。
そういう問題に真剣に悩んだことのある人にしかわからない、わかってあげられない問題を抱えた人たちが、この社会にはいっぱいいるからだ。

あなたが、もし、いま、「死ぬとどうなるか」 について悩んでいるならば、きっと、その悩みを持ち続けることで、将来、同じように「死ぬとどうなるか」について悩んでいたり、「人間は死ぬことをどう受け止めるべきか」について悩んでいたりする人たちの悩みを聞いてあげられるような、そういう大人になれると思う。それは、とても素晴らしいことだと思う。

今はしんどいかもしれないけれど、しっかり悩み続けてほしい。

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